オンリーワンで生きよう (下)

時代は急変している。百貨店、家電量販店、そして銀行までもが業界2位以下の統合によるNo.1争奪戦を繰り広げている、そこに生き残りを賭けて。つい最近ではPanasonicとSONYが業務提携をするという。だが、本当にそれでいいのか。ちなみにSONY信奉者だった(アホなアメリカ人に乗っ取られた時期を除く)私は、がっかりしている。良くも悪しくも業界スタンダードなPanasonic製品、それに類似したSONY製品を買う気にならないからだ。

車で言えばHONDAファンが決してTOYOTAを買わないのと同じことだ。その理由は、ナンバーワンとオンリーワンの本質的な違いに起因している。

PanasonicやTOYOTAは、売上シェアで業界No.1を誇示してきた、言わば優良児。対して、SONYやHONDAは、他に先駆けて新しいコンセプトやデザインを製品化するオンリーワン志向を貫いてきた、言わば異端児。

市場が成熟し消費者に選択の自由が与えられたその日から、私のように人と同じ事をするのが本能的に嫌いな「少数派タイプ」の人間は、往々にしてNo.1や流行品を避けて通る。天邪鬼と嫌われても気にしない連中だ。逆に、「多数派タイプ」の人間には、周囲が自分と同じだという安心感や共有感がある。どちらが良い悪いではなく、どちらが好きか嫌いかの問題なのである。もしかするとDNAの思し召しかもわからない。

さて、我がムーンワーカーズの利用者は、「もともと特別なオンリーワン」である。彼らの個性を開花させるためには、少なくとも前述の少数派タイプの支持を得ることが必要だと思っている。そのためには、先ず我々職員が、数の論理に屈することなく既製の常識社会に立ち向かっていく覚悟が必要なのである。いつの日か「世界に一つだけの花」をたくさん咲かせたい。       (Sakai)