“Imagine”

▽12月8日はジョンレノンの命日。“Imagine there’s no Heaven(想像しなさい、天国なんて無いんだと)♪ で始まる名曲 “Imagine” には彼の思想が凝縮している。続く歌詞中にNothing to kill or die for(殺す理由や死ぬ理由も無い)やNo need for greed or hunger(物欲や飢える必要も無い)と反戦を色濃く出していることから、映画「キリングフィールド」のエンディングテーマに使われたことを記憶している方も多いだろう。また、No countries(国家も無い)やNo possessions(所有も無い)と唄う反保守的な表現から共産主義者と疑われ、FBIに目をつけられていた話は有名だ。さらには、No religion(宗教も無い)のフレーズが示すように “キリスト教は消滅する”と実際に発言してローマ教皇の反感をかったこともあった。

▽これだけ”No”を連発する歌詞にもかかわらず、世界中の大多数に支持されたのはなぜだろうか。それは、この唄には否定をまるごと包み込む大きな想いがあるからだと思う。

Imagine all the people (想像しなさい、みんなが)
Sharing all the world (世界を分かち合うって)
You may say I’m a dreamer (僕のことを夢追人だと言うかも知れない)
But I’m not the only one (だけど僕はたった一人じゃない)
I hope someday you’ll join us (いつか君も僕たちに加わって)
And the world will live as one (そして世界はきっと一つになる)

▽そこには、イデオロギーも偏屈なアナーキズムもない。ただ平和を愛する一個人の想いがあるだけだ。それを哲学や宗教と仰ぐ人がいても何ら不思議はない。それはレノン教?ある意味バイブルと言えなくもない。

▽もしも天国のジョンレノンが今の日本を見下ろしたならば “特定秘密保護法? 防空識別圏? 小さいよ、全くバカバカしい” そんなふうにつぶやくに違いない。どこの国も縄張り意識において大差はない。そして、国家(政府)は国民を縛りつけようとする。国民はそんな国家の勝手に愛想を尽かす。Peopleは、人を愛せても国を愛せなくなっているのだ。

▽ちなみに「君が代」には何の興味も愛着もない私だけに、“Imagine”が国歌ならぬ人類歌として唄われる日を待ち望んでいる。

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 (Sakai)