▽ 一昨年に障害者虐待防止法が施行され、権利擁護とセットにして障害者の心身を守ろうとする声が高まってきた。喜ばしいことである。だが、その反面で見過ごされているのが障害者の犯罪ではないだろうか。軽微な例では「窃盗」や「暴行」、すこし進んだ例では「援助交際」で女が稼いだ金を男が「カツアゲ」、さらに女は身篭った子どもをトイレに産み捨てるという「殺人」すれすれの事件だ。これらはいずれも身近で起きているが、障害福祉の経験浅い私などは氷山の一角を見たに過ぎないのであろう。
▽ 近年の矯正統計年表によれば、新規受刑者の30%近くはIQ69以下の知的障害者によって占められている。さらに自閉症や精神障害等も含むグレーゾーンに範囲を拡げると、IQ79以下の障害者が占める割合は実に50%にもなるという。では、犯罪に至った理由とは何だったのか。最多の約4割を占めたのが「貧困・生活苦」であった。
▽ そこから見えてくる我々にできることとは、犯罪のbefore、afterを問わず彼らを経済的に自立させること、即ち就労支援ではないか。とりわけ、前述した援助交際の事例を勘案すると、支援中に性欲を暴走させないような工夫が必要だ。先人の話によると、その事業所では月に2回、ヘルスやソープランドへ連れて行く利用者がいるという。障害者だからといって性欲が減るわけではない、むしろ本能の制御が難しい障害者だからこそそういった支援が必要なのである。だからといって、いきなりヘルスなどの風俗を営業することは、周囲の目が許さない。
▽ そこで、まずは街角にたむろする夜行性障害者たちを引き付けておく場所を創る。彼女らが従業員として働くことができ、同時に彼らが客として利用できる「障害者御用達の月夜の店」。さしあたり、それをキャバクラと呼ぶならそれでよし。男女入替わってホストクラブもいい。風俗が福祉と融合する日は、そう遠くないと信じている。
▽ 周囲にはあえて説明をしてこなかった社名「ムーンワーカー」であるが、2014年、今まさに「月乃仕事人」として障害者の夜を支援しようとしている。 (Sakai)