フィトンチッド

もうすぐ桜の季節がやってくる。ところで桜は何故いっせいに開花するの?と不思議に思ったことはないだろうか。一説によると、桜はお互いにフィトンチッドにより交信しているからだという。フィトンチッドとは、植物が常時発散している揮発性物質のことで、森林浴で人がリラックスするのもこの作用によるものだ。同時に殺菌力があることも証明されており、植物が傷ついた時により多く放出されることから、それを凝縮してアロマ精油として人間が利用している。

このようにヒトや微生物が感じ取るくらいだから、植物同士がそれを媒介として交信していてもなんら不思議ではない。さらに、川を挟んだ対岸の桜と開花時期がずれるのはフィトンチッドが風に流されやすいためだ、というところにも説得力がある。

人間にもこんな力があったらいいなと思う。以心伝心、いわゆるテレパシー。そこで、脳科学者は脳波という電磁波を、分子生物学者は細胞振動時の超マイクロ波を、はたまた物理学者は素粒子を持ち出してテレパシーの存在を証明しようとするも、どれも確証は得られていない。葉っぱの日常活動である光合成を未だ人工的に作り出せないのと同様で、いくら科学技術が進歩しても人間本来の力は植物に及ばないのだろうか。

ちなみに、我々が時同じく夕飯を食べるのは、人ん家が発散する気になる匂いヒトンチッドのためだ、とダジャレで締めくくろう・・・? (Sakai)